銀製 蜻蛉切

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    銀製 蜻蛉切

     

    当店があります静岡県島田市は「三大名槍」の一つ「お手杵」を作った刀鍛冶の四代義助が活躍していた地でありました。

     

    三大名槍の「お手杵」「日本号」「蜻蛉切」が一同に揃うという全国初の企画展が2017年2月25日から3月5日の間、開催されています。

     

    「島田の刀鍛冶と天下三名槍」という企画展自体は1月から3月の終わりまでやっていますが三本の槍が揃うのは上記の期間のみ。

     

    この企画展を前に各方面より「刀の何かを作って売れないか」とご相談や提案をいただきました。

     

    このブログを書いている四代目は刀に興味はありませんでした。

     

    歴史に弱いせいか興味がわかないというのが本音で皆さんのお話で重い腰を上げてみようとなりました。

     

    三代目は刀には詳しい方だと思います。

     

    当店のルーツを辿りますと鉄砲鍛冶の家系なのですが刀は関係なかったです。

     

    今回何かを作るという前に始めたことがありました。

     

    世の中の女性がどうしてこれほどまでに刀剣に熱中しているのか。

    理由の一つとして「刀剣乱舞」という名刀を擬人化した「刀剣男士」を収集・強化し、合戦場の敵を討伐していく刀剣育成シミュレーション。
    正式名称は「刀剣乱舞-ONLINE-」。
    ゲームからミュージカルになったりアニメにもなったりしているものでした。
    その「刀剣乱舞」をやってみようと。
    やっていくうちに刀の名を持つ人物が刀なのか人なのかの境界が曖昧になっていきます。
    そこからそのキャラクターに興味を持ってしまったら名前が刀の名前だったという逆転が起こる気がします。
    そしてそのキャラクターの元になった本物の刀剣を見てみたい。
    最近流行りの「聖地巡礼」みたいなものでしょか。
    全国各地の博物館や美術館にそれこそ全国から人が集まっているのはその動きなのではないかと。
    そんな考えを巡らせながら、じゃあどの刀剣を作ればいいのか考えました。
    企画展が始まりしばらくして見に行ってみました。
    当店で扱っているものは貴金属ですが道具としては鉄のものが多く、刃物も使用します。
    見れば見るほど作りの凄さがわかってきて、その日から日本刀の作り方の動画を多く見ました。
    日本刀が一人の力ではなく、分業制で仕上がることも知りました。
    当店の仕事の内容からして「はばき」というパーツが今の仕事に近いパーツであることもわかりました。
    島田の刀鍛冶といえば義助ですから「お手杵」となるのが流れとしてはスムーズだったのですが、作るものはかなり縮小した何かです。
    「お手杵」を小さくした場合、爪楊枝のようなものが出来上がってしまいます。
    だからと言って「日本号」を作っても中の龍は細かすぎますし、技術的に無理だと判断しました。
    その流れで「蜻蛉切」の全体ではなく、槍先ならなんとかなるであろうと制作が始まりました。

    よく考えたら買ってきた図録には「蜻蛉切」は載っているものの実物を見たことがありません。

     

    表と裏の写真はありますが横からのものはなく、ネットで画像検索を繰り返しましたが似ても似つかない「蜻蛉切」が出てきます。

     

    幕末の刀工が作った写しも形がおかしいし図録の写真から作るしかないと制作を始めました。

     

    銀の板より外側の輪郭を切り取り、ひたすらヤスリで削っていきます。

     

    頭の中で写真を立体化して膨らみと凹みを形にしていきます。

     

    形がなんとなく出来上がった時から今度は彫られている梵字の解読です。

     

    見た目で梵字だということがわかるくらいの知識量ですからなかなかの作業です。

     

    紙に文字を写して梵字の辞典で調べますが彫ってある文字が今でいう行書体という感じの流れた文字になっているので特定するまでに時間がかかりました。

     

    特定ができたら今度は文字の書き順を調べます。

     

    書き順がわかると筆の運びもわかって彫りには参考になります。

     

    本体の上部に彫られているのは「カ」「キリーク」「サ」意味としては「地蔵菩薩」「千手観音菩薩」「聖観世音菩薩」。

     

    下部に彫られているのは「カーン」「ア」、「不動明王」「胎蔵界大日如来」そしてその下の二本の線が未だに解明できていません。

     

    それと蓮華の柄。

     

    (と書いてきましたが、書きながら意味が判明しました。下部に彫られているのが一つの梵字で「カンマン」「不動明王」ということらしいです。「カーン」と「カンマン」の不動明王はどう違うのでしょうか。詳しい方がいましたら教えてください。)

     

    そして色々がわかってきたところで梵字の彫りの練習を始めました。

     

    最初は5mmくらいの文字で始めましたが最終的には3mmくらいに彫る必要があったのでヘッドルーペをつけての細かい彫りです。

     

    柄としては「不動明王利剣」のようなものが彫られていますのでそれも小さく細く彫刻します。

    写真で見る限り表面の凹みが黒く見えたので燻しをかけ、その上から柄と文字を彫って完成です。
    初めに作ったのは4本です。
    完成したのが三名槍が揃う前日。
    当日になって初めて本物を間近で見ましたがとても美しい造りでした。
    一つ驚いたのは表面の凹みは黒くなく、鏡面だったこと。
    写真を撮る関係で撮る側を黒くしていたからこそ黒が写ったんだとその場で理解しました。
    帰ってから今度は凹みを鏡面にしたバージョンを作らないと気が済まなかったので急いで一本作り上げました。
    初めのものも次に作ったものも好みによって分かれると思いますがなかなかの出来だと思います。
    今回蜻蛉切を作らせてもらって作業しながら本物を作った刀工のデザイン力や研師の仕上げ方を感じとても勉強になりました。
    今度は刀を作ってみようと思います。
    ありがとうございました。

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